ザ・ラカンターズの2ndアルバム。荒々しいドラムとギターの中に時折混じるクラシカルな旋律が美しい。彼らが織りなす多彩なリズムにはラカンターズなりにロックの新解釈が加えられ、そのメロディラインは秀逸。しかし彼らはそれにもっともらしい理由を付ける事も、自らの音楽性を自慢する事もない。その真摯な姿勢と潔さがラカンターズそのものである。伝わってくるのは、俺たちは最高の音楽を届けるだけ、というシンプルなメッセージだ。良い意味で泥臭い有機的なアルバムである。今作でロック・バンドとしての一つの方向性をはっきり示した彼らについて説明するのに「ホワイト・ストライプスのスピンオフ」などという前置きはもはや必要ない。
ザ・ラカンターズとんでもなく元気なバンドが現れた。フォーエヴァー・ザ・シッケスト・キッズ。「自分の身に起こった事しか曲にしない」とメンバーが豪語するように、そこにはアメリカのキッズを虜にするリアルなアンセムが詰まっている。シャウトするサビはどうしようもないキャッチーさで脳天にグイグイ迫ってくるし、メロディアスな楽曲に無限の可能性を感じずにはいられない。彼らが勢いに任せた一発屋のロックバンドと一線を画しているのは、日常の他愛無い出来事を強引に自分たちの音楽にしてしまう無鉄砲さと、確実に成功を収めんとする計算高さの両方を持ち合わせているからだ。シーンに風穴あけてやろうという彼らの野心、じっくり味わおうじゃないか。
フォーエヴァー・ザ・シッケスト・キッズQ:indiviの2ndアルバムの、心が洗われるような爽快感は何だろう。繊細なストリングスアレンジと最先端のテクノロジーが詰まった同作では、バッハによるメヌエットの大胆なサンプリング等、国境もジャンルも軽々と超えていく彼らの世界観が余すところなく表現される。「聴く人にとって気持ち良い流れを音そのものの響きで伝えたい」という田中ユウスケの思い。クラシックとエレクトロサウンドという、一見相容れない音楽ジャンルを見事なまでに解体、再構築してみせた彼らの手腕には驚嘆するしかない。単なるコンセプチュアルバンドという枠には到底収まりきらない彼らが創り出す、新世紀のポップスを極彩色に染め上げるマスター・ピースになるはずだ。
Q:indivi「この容姿でこの声!」というのが、ケイティ・ペリーの第一印象だ。クルクル動く大きな瞳で私たちを挑発しながら毒のある歌詞をぶつけてくるこの彼女とは一体どんな存在なのか。余りにも過激な歌詞のせいで全米中の保護者を敵に回したという逸話まで残っているが、一時的な話題で終わらないカリスマ性が彼女にはある。幼少期に賛美歌を聴き、教会で歌っていた経験に裏打ちされた歌唱力と楽曲センスには目を見張らざるを得ない。キュートで生意気、自信たっぷりでちょっとイカれた女の子。彼女の評価はそんな言葉で語られがちだが、私たちは耳触りの良い言葉に躍らされず、ここまで才能溢れるアーティストのデビューに立ち会えた事に感謝しよう。
ケイティ・ペリー(本文:
Ling-xiang)